運動の抗うつ効果

うつ病とは、気分障害の1つです。 一日中気分が落ち込んでいたり・行動する気が起きなかったり・何をしても楽しめないなどという精神的な症状があります。それだけでなく、不眠・食欲不振・疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障がある場合、うつ病の可能性があると言われます。

臨床的うつ・軽いうつ状態に対し、運動が効果的だと言われています。うつは一般的に精神科医による診療・治療などにより治療されますが、運動はコスト面の心配や副作用がないことから、改善策において非常に望ましい代替療法であろうと考えられています。さらに、運動は、投薬治療と同じくらいの効果をもつとも言われているそうです!

このような運動のうつ低減効果は、費用だけでなく、投薬による体重増加などの副作用観点と筋痙攣や不整脈などの生理的悪影響の観点からも、投薬治療に比べて大いに望ましいというのは明らかです。

更に運動による副次的作用は、体脂肪の減少をはじめ、心疾患・高血圧・がん・関節炎減少、それ以外にも認知症やアルツハイマー病の軽減などが含まれます。また、ストレスの改善・緩和にも効果的で、多くの人が日常生活の中でストレスを感じ一時的なうつ状態を起こすと言われていますが、運動はストレスに対峙して気分を改善することが可能であると考えられています。

運動は不安状態を抑制するのと同様に、運動は様々なメカニズムを通してうつを抑制します。関連する2つの可能性は、脳内の生体アミン★ⅰの分泌によるものだと考えられています。抗うつ効果のある重要な神経伝達物質であるセロトニンの中枢濃度は、運動中や運動後に上昇するためです。

運動はドーパミンの発生などを高めることができるため、うつやパーキンソン病を軽減すると言われています。うつ状態で低下するもう1つの神経伝達物質であるノルエピネフリン★ⅱもまた運動とともに増加します。それ以外にも、トレーニングを行なう環境での人との交流、さらに日常生活活動を行なう際の筋力や柔軟性の向上による達成感や自己効力感の高まりからも効果が得られると考えられています。

身体的な健康の改善により自立心が得られ、無力感が低下する可能性があることを考えれば、このような効果は、高齢者にとって特に重要です。また、そのような自覚は、運動に伴う筋力や持久力の向上と併せて、高齢者の生活の満足度を高め、自立した生活を維持する機会の増大に貢献するでしょう!運動で身体と脳の健康を保ちましょう!!

★ⅰ…生体アミン…ヒスタミン、チラミン、プトレシンなどに代表される、アミノ酸から生成される化合物の総称。生体内で生成され、多くは血圧上昇などの生理活性作用をもたらします。
★ⅱノルエピネフリン…交感神経の情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まります。 その結果、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、体を活動に適した状態にします。 副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらします。

※「NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識」参照
※厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「うつ病」参照
※e-ヘルスネット「生体アミン」「ノルエピネフリン」参照

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